にらさき日記

20代男性のブログ。日常、旅行など

キーウ行き夜行列車 Transcarpathia号

2020年になって、大規模にロシアがウクライナに侵攻して以来、ウクライナから欧州の他地域に避難民が多く押し寄せている。彼あるいは彼女らは他国に避難しているとはいえ、祖国に時たま戻ることもあるのだろう。

そうした欧州の他地域に避難しているウクライナ人を主な利用者とした夜行列車が存在する。今回は夜行列車でウクライナから結ばれている都市、ブダペストで撮影したキーウ行き夜行列車を撮影したした記録を掲載する。

➀キーウ行きTranscarpathia号

➁ブダペスト東駅まで撮影に行かれる方への情報

➂ウクライナの国際寝台列車

➃参考になるかもしれない情報

 

 

 

➀キーウ行きTranscarpathia号@ブダペスト東駅

ブダペストはハンガリーの首都で、ブダペストから鉄路では国内だけでなく、ドイツ・ミュンヘン、スイス・チューリヒ、オーストリア・ウィーン、チェコ・プラハ、ポーランド・ワルシャワ、ルーマニア・ブカレスト、そしてウクライナ・キーウなど多くの都市と延びている。

ブダペスト東駅。
シェファサードに装飾されている、2つの彫像はジェームズ・ワットとジョージ・スチーブンソンだ。駅前の治安は男一人でいる分には悪くはないが、撮影を終えて帰ると23時前になるので注意は必要だ。

ブダペストからキーウへの列車は2024年12月より運行されており、比較的新しい。名をTranscarpathiaという。Transcarpathiaというのはハンガリーとの境界を接するウクライナのザカルパート(Zakarpattia)地方のことだ。国境地域というのもあり、国境問題があるようで、つい今月(2025年5月)にもウクライナがハンガリーのスパイ網を摘発したとのニュースがあったのもこの地域だ。

edition.cnn.com

列車は寝台車6両で運行される日が多いようだ。ブダペスト東駅発だと3回の機関車交換を経て運行され、以下の表の4台の機関車をリレーしてキーウまで運行される。

区間 担当機関車 備考

Budapest-Záhony

ハンガリー国鉄480型 電気機関車

Záhony-Chop

ハンガリー国鉄418型 ディーゼル機関車
Chop-Lviv ウクライナ国鉄ВЛ82型 電気機関車
Lviv-Kiev ウクライナ国鉄ЧС8型 電気機関車

なお、途中駅のZáhonyはハンガリー側の国境駅で、Chopはウクライナ側の国境駅なので国境の8区間の約8kmだけディーゼル機関車が牽引していることとなる。Chopはザカルパート地方の都市名だ。

 

今回の記事の写真は特記のない限りブダペスト東駅で2025/3/11に撮影したものだ。当日の列車の編成表はこちら(Wagon Web)で3月11日を検索して頂ければ見ることができる。

 

駅ではまだ車両に入れない乗客がドアが開くのを待っていた。明らかに多い女性客が国の置かれている状況を物語っている。

Transcarpathiaは右から2番目の客車だ。手前で待っているのは乗客と思われる。明らかに女性が多い。

少し後の時刻に撮影したものだが、発着表を下に示す。

ブダペスト東駅の発着表。左側の上の方に22:40 Kyiv-Pass.と掲載されている。

列車の手前の案内。発車前になってから表示されていた。

Transcarpathia号の発車案内。終点キーウに到着するのは翌日19時過ぎ。

こちらがTranscarpathia号。1884年からあるドーム駅舎で出発を待つ。

右のハンガリー国鉄の車両よりも一回り大きい。

他のヨーロッパの客車と比べて明らかに大きいのは旧ソ連の車両のため。EU諸国は日本の新幹線と同じ線路幅の1435mmを採用しているがウクライナなど旧ソ連諸国の一部は1520 mmを採用しており、やや車両が大きい。

濃紺色の車両が連なっている。右下に写っている「140」はこの客車が140km/h運転まで対応していることを示している。y3はウクライナ国鉄、という意味。

車両から駅舎入り口を望む。ヨーロッパの優等列車についている車両案内がこの車両にもついており「TRANSCARPATHIA」と記載されている。

車両案内のアップ。右上はウクライナ国章。

丈夫そうな台車を履いている。ウクライナとは軌間が違うのでどこかで台車を履き替えるのだろう。

車両はホームに入ってからもドアが開くまで時間がかかっていた。

濃紺の車両の中に一両だけ白色の車両が混ざっていた。

白い寝台車のみ、スターリンクのアンテナと思しきものが車端に備え付けられていた。石炭ストーブの煙突との時代差が対照的。

ウクライナへ行く人々の雰囲気とは反対に、反対側のホームからは近郊列車が発着する。地元の人々のラフな格好と寒地向けの服装をしている人々の雰囲気が対照的。

日本と地球の反対側とは言え、同じ時代を生きている人がそこにいるという現実は変わらない。トートバックが時勢を物語っている。

 

 

 

反対側のホームに移動して編成全体を写しに行った。

ホームに佇むTranscarpathia号。
客車はソ連製だが、機関車はドイツ製なので車両の大きさが一段違う。

もう少しじっくりと条件を触りたかったがすぐに隣にミュンヘンから遅延したRailjetがやってきた。車両が隠れてしまうのでホームを移動。

駅の終端側から寝台車とRailjetの並び。やはりRailjetよりも大きい。西洋諸国の車両と東欧の車両が混ざるのも中欧ならでは。

ミュンヘンからやってきたRailjetとTranscarpathia号。ミュンヘンからオーストリアを横断して各地から乗ってきた乗客の中にはここで乗り換えてキーウに向かう者もいるのだろう。

ブダペスト東駅駅舎の両サイドには掲げられているハンガリー国旗と。

Railjetは折り返して回送されて行った。

もう一度ホームを移動して全体を撮影。

駅名標と絡めて。

編成全体像。美しい駅から戦地へと向かう列車の出発を待つ。
この趣味を始めて10年ほどだが、最も印象に強く残っている写真。

近郊列車が隣にやってきた。この状態から出発となり、編成全体像をじっくり撮影できる時間は意外と少なかった。

 

 

 

Transcarpathia号はキーウからブダペスト東駅に朝6時に到着するが、日中はブダペスト東駅の13番線の奥の留置線に留置される。撮影日の前日の3月10日にも留置されている車両を撮影したので掲載する。

留置中のウクライナ国鉄の車両。この日は全部白い車両だった。

キーウ行きとブダペスト行きで車両表示は変わらないようだ。写っていないが、ウクライナから来たと思しき車掌氏が車内で休んでいた。

反対側から。

手前の一両のみハンガリー国鉄の車両だった。

連結面。カフェのついている車両が連結されているようだ。実際の運用時に連結されていることはなさそうなので車掌の休憩所として使われていると想像する。

 

➁ブダペスト東駅まで撮影に行かれる方への情報

今回取り上げたTranscarpathiaの編成や発着時刻はWagon Webで調べられる。客車は3種類の塗装があるようなので時間がある方は揃えに行っても良いだろう。
 

客車のみであれば日中のブダペスト東駅のホームから良く見えるところに留置されているので夜間の撮影に躊躇いを感じる方は昼間に車両だけ見に行かれても良いかもしれない。

 

キーウ旅客駅発ブダペスト東駅行き:

www.vagonweb.cz

ハンガリー国鉄のWebページより時刻表(2025/5/17閲覧)

https://jegy.mav.hu/menetrend/vonat?d=2025-05-17T04:34:34.000&vsz=9

ブダペスト東駅発キーウ旅客駅:

www.vagonweb.cz

ハンガリー国鉄のWebページより(2025/5/17閲覧)

https://jegy.mav.hu/menetrend/vonat?d=2025-05-17T04:39:40.000&vsz=10

 

 

➂ウクライナの国際寝台列車

今回取り上げたのはハンガリーからキーウへの列車だが、キーウからの夜行列車は他にも運行されている。ウクライナは航空便が停止しているため出入国手段が陸路/海路に限られているのだ。

ソース元はWagon webだが、ウクライナからの国際列車の主なものとしてはポーランド・ワルシャワ-キーウでKyiv Expressが、オーストリア・ウィーン‐チョープ(Chop)でHortobágyとTiszaという名前の列車があるようだ。

欧米諸国の首脳がキーウ入りする際にもウクライナ国鉄を利用している。ホワイトハウスの公式X(Twitter)にも写真がポストされていたようだ。大統領が代替わりして元ツイートが残っていないようだったのでアーカイブアカウントを載せる。

 

欧米首脳のウクライナ国鉄に乗車している様子の写真の一覧はこちら。

ukraine.ua


日本から岸田首相(当時)が2023年3月にキエフ訪問をした際は、ワルシャワではなく、プシェミシルから寝台列車で訪問された(本人Youtubeインタビュー8:24あたり)。うまい棒やきとり味の箱に入っていたウクライナ大統領への手土産の広島名物しゃもじの写真はここで撮られたということだ(産経新聞記事より)。

キーウに到着した岸田総理(当時)
(出典)首相官邸ホームぺージ 総理の一日 令和5年3月21日付
https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202303/21ukraine.html

 

 

➃参考になるかもしれない情報

X(twitter)でのスレッド
ウクライナの客車をハンガリー国内で走らせるための準備について書かれている。

 

 

テレビ朝日の記事中に出てくる動画(5分ほど)

キエフ駅とキエフ発プシェミシェル行きの寝台列車の乗車の様子が載せられている。国境検問の様子も写している(3:07~)。よくカメラに収める勇気あるなという映像。Yahooニュースに載っていたがリンク切れのため元記事は載せられない。

 

東洋経済オンライン 2022年3月26日 ウクライナ危機、鉄道が支える「避難と物資輸送」欧州各国、避難民輸送に「運賃無料」や車両提供

やや古い記事だが、ウクライナ避難民の輸送についての記事。

toyokeizai.net

 

NHK 2025年4月21日放送 みみより!解説 ウクライナ 鉄道に見る人々の思いとくらし

www.nhk.jp

 

乗りものニュース 2024年5月31日 日本製レール驚愕の大量供与 ウクライナの鉄道修復を支援へ 重さにビックリ!

日本からウクライナに190km分のレールが提供されている。ウクライナ唯一のレール製作をしている製鉄所がアゾフ連隊が立てこもった製鉄所だったそうだ。

trafficnews.jp

 

東洋経済オンライン 2024年2月2日 戦時でも「ダイヤどおり運行」ウクライナ鉄道の今周辺諸国との重要な足、ウィーン直通の客車も

戦時下のウクライナ鉄道についてまとめた記事。

toyokeizai.net

 

東洋経済オンライン 2023年5月9日 食料高騰を救う?ウクライナ・欧州間「新貨物列車」ハンガリーに新物流拠点、農産物輸送のハブに

戦時下ウクライナで変化した貨物輸送について書かれている。ウクライナは穀物生産量で2013年から2021年まで世界ランキング10位以内をキープしていたほどの穀物生産国(2023年の日本は35位)で、その輸出に鉄道が使われている。

toyokeizai.net

 

 

 

長編記事となってしまいましたが最後までお付き合いいただきありがとうございました。

 

ハンガリーまでの旅行の様子はこちら。

ma-te.hatenablog.jp

ハンガリーから帰国する様子はこちら。

ma-te.hatenablog.jp